- HOME
- 屋根塗装は本当に意味ない?そう言われる理由と塗装が必要な屋根をプロが解説
屋根塗装は本当に意味ない?そう言われる理由と塗装が必要な屋根をプロが解説
そんな疑問を抱く方は少なくありません。
ネットで検索してみても、ページによって紹介されている屋根塗装の必要性や重要度はバラつきがあるため、何を信じて良いのか分からなくなってはいませんか?
実際、屋根材の種類や劣化の状態によっては塗装が不要なケースも存在します。
一方で、多くの住宅で使われているスレート屋根や金属屋根では、定期的な塗装が屋根材を長持ちさせる大切なメンテナンスとなります。
重要なのは「どうして塗装が必要なのか」、そして「どうしてこの屋根には塗装が不要なのか」を知ることです。
この記事では、「屋根塗装は意味ない」と言われる理由と、実際に塗装が必要となるケースの違いをわかりやすく解説しながら、費用の目安や専門家に相談する重要性についてもご紹介します。
「屋根塗装は不要では?」
「やっても意味がないのでは?」
屋根の塗装メンテナンスを検討する中で、このような情報を目にして不安になる方は少なくありません。
インターネット上にも「屋根塗装は意味ない」といった意見が散見されるため、判断に迷うケースが多くなってきています。
結論から申し上げると、屋根塗装はすべての住宅にとって必須というわけではありません。
屋根材の種類や劣化の度合いによっては、塗装を行っても効果がなく、結果として「意味がない」となる場合も確かに存在しています。
しかし、それは一部の条件に当てはまる場合に限った話であり、多くのスレート屋根や金属屋根では塗装による防水性の維持が重要な意味を持っています。
適切なタイミングで塗装を行えば、紫外線や雨風から屋根材を保護し、結果として大切なお住まいの寿命を延ばすことに繋がるのです。
では、なぜ「屋根塗装は意味ない」と言われてしまうのでしょうか。
まずは大まかな理由を3つお伝えしたいと思います。
理由1:塗装が不要な屋根材が存在するため
「屋根塗装は意味がない」という意見の代表的な根拠は、もともと塗装を必要としない屋根材があるからです。
特に日本の屋根として長く使われてきた粘土瓦(和瓦)は、素材自体が高い耐久性と防水性を備えており、塗装での保護を必要としません。
むしろ塗料が密着しにくいため、無理に塗装するとすぐに剥がれてしまう恐れがあります。
理由2:劣化が進行しすぎていると塗装では手遅れなため
屋根材が大きく破損している、あるいは下地材であるルーフィング(防水シート)や野地板が腐食している場合、塗装だけでは根本的な解決になりません。
この段階では、表面だけを塗ってもメンテナンスとしての意味を成さないため、葺き替えやカバー工法といった大規模なリフォームが必要となります。
理由3:塗装は屋根材そのものの強度を高めるわけではないため
屋根塗装の役割は、主に美観の維持や防水性の向上、そして紫外線など外的要因からの保護といったものです。
つまり、塗装によって屋根材の物理的な強度が増すわけではありません。
そのため、「屋根材自体の寿命を延ばす効果は限定的」という見方から「意味がない」と捉えられることもあります。
「なら塗装をしなくても良いのかな?」と思われやすい理由ではありますが、塗装を行わないことによるリスクについてページ後半で詳細にご紹介していますので、チェックしてみてください。
理由4:施工不良によるトラブルが生じることがあるため
塗装工事は業者の技術によって仕上がりが大きく左右されます。
下地処理の不足や不適切な施工をされてしまうと、塗膜が早期に剥がれたり、場合によっては雨漏りを引き起こす原因を作ることもあります。
こうした失敗を経験すると、「せっかく費用をかけたのに無駄だった」と感じてしまい、「屋根塗装は意味ない」という考えにつながるのです。
このように、「屋根塗装は意味がない」という意見は屋根材の特性や劣化の進行度合い、さらには施工の質に起因している場合がほとんどです。
大切なのは、ご自宅の屋根の種類と現状をしっかり把握し、必要なメンテナンスを正しく見極めることです。
ケース1:塗装が不要な屋根材を使っている場合
屋根材の中には、もともと塗装によるメンテナンスが必要ないものがあります。
粘土瓦
代表例は先程ご紹介した粘土瓦(和瓦・洋瓦・釉薬瓦・いぶし瓦など)です。
粘土瓦は高温で焼き固められた粘土製で、表面がガラス質で覆われていたり、燻すことで炭素膜が形成されていたりするため、素材そのものに高い防水性と耐久性があります。
結果として塗装での保護を必要としません。
むしろ塗料が密着しにくく、無理に塗装しても短期間で剥がれる可能性があります。
もちろん、色を変えたいなど美観目的で塗装することは可能ですが、その場合は定期的な塗り替えが前提となることを理解しておきましょう。
そのほかにも、塗装が基本的に不要とされる屋根材があります。
アスファルトシングル
基材にアスファルトを染み込ませた屋根材で、表面に石粒が吹き付けられています。
屋根材自体が非常に薄くて柔らかいため、雨漏りを防ぐためのタスペーサー設置といった縁切り作業ができず、塗装は推奨されていません。
ジンカリウム鋼板製に多い自然石粒仕上げ屋根材
アスファルトシングル同様に表面には自然石の粒が吹き付けられており、この石粒が屋根材を保護しています。
加えて色褪せることも基本的にないので、塗装によるメンテナンスは必要ありません。
ケース2:屋根の劣化が進行しすぎている場合
屋根の劣化が大きく進んでいると、塗装をしても効果はなく「意味ない」と判断されます。
塗装はあくまで屋根材の表面を守るためのメンテナンスであり、下地や構造部分の損傷まで回復するものではないからです。
次のような症状が見られる場合は、すでに塗装の時期を過ぎている可能性が高いでしょう。
☑ ルーフィング(防水シート)や野地板の腐食や損傷が進んでい
☑ 雨漏りがすでに発生している
この状態で表面を塗装しても、雨漏りなどの根本的な不具合は全く改善できません。
その場合は、葺き替え工事(屋根材をすべて撤去・交換する方法)や、カバー工法(既存の屋根の上に新しい屋根材を重ねる工法)といった、本格的なリフォームが必要になります。
ケース3:築年数が浅い、またはリフォーム直後の場合
新築から数年以内、あるいは葺き替えやカバー工法などの工事を行って間もない場合は、現時点ではまだ屋根塗装は必要ない可能性が高いです。
屋根材や表面塗膜がしっかり機能しているため、塗装を検討する段階には至っていないのです。
ただし、これはあくまで「今はまだ必要ない」というだけであり、将来的にメンテナンスが不要になるわけではありません。
一般的には新築・前回の工事からおよそ10年前後が塗装の目安とされていますが、劣化スピードは住環境によって大きく変わります。
強い日差しにさらされる環境、沿岸地域での塩害、工場地帯による排気ガスの影響などで劣化が早まることもあるため、築年数が浅くても劣化の兆候が見られる場合は専門家による点検を検討してみましょう。
スレート屋根(カラーベスト・コロニアル)は、一般的に定期的な塗装が必要とされる屋根材です。
しかしその中には、塗装をしても意味がない製品が存在します。
知識や経験が不足した業者に依頼すると、こうした屋根に対しても塗装を提案されることがあるため、ご自宅の屋根が該当しないか知っておくことが大切です。
ノンアスベスト初期製品は塗装してはいけない
特に注意が必要なのは、1996年から2008年頃に製造された初期の「ノンアスベスト」スレート屋根です。
1990年代半ばまでスレートには補強材としてアスベストが用いられていましたが、健康被害への懸念から規制が進み、代替としてアスベストを含まない製品が登場しました。
ところが、その初期製品は強度を確保する技術が未成熟だったため、素材自体が非常にもろく、耐久性に問題を抱えていたのです。
経年による塗膜の劣化とはほとんど関係なしに、屋根材がひび割れる・層状に剥がれる(層間剥離)・欠けるといった症状が多発しました。
このような特定のノンアスベストスレートは塗装で強度を取り戻すことはできず、むしろ高圧洗浄の水圧や職人が歩く重みだけで簡単に割れてしまう危険性があります。
そのため、塗装工事自体が屋根をさらに傷める原因になりかねません。
塗装に適さない代表的なスレート製品
ご自宅の屋根が該当するかどうかを確認するため、以下に代表的なノンアスベスト製品を挙げます。
パミール(ニチハ製 / 1996~2008年)
劣化が進むとミルフィーユのように層状に剥がれる「層間剥離」が発生し、塗装によるメンテナンスは不可能です。
コロニアルNEO(クボタ製 / 2001~2008年)
細かいひび割れや先端部の欠けが多く、非常に割れやすいため、人が屋根に乗るだけで破損するリスクがあります。
その他の製品
「レサス」「ザルフグラッサ」「アーバニー」「グリシェイドNEO」なども同様に、塗装でのメンテナンスはNGとされています。
これらの製品はすでに製造が終了していますが、当時建てられた住宅に広く採用されているため、今でも注意が必要です。
適切なメンテナンス方法は屋根材自体を変えるリフォーム
では、このような塗装が適さないスレート屋根の劣化はどうすべきでしょうか。
答えはシンプルで、塗装ではなく根本的なリフォームを行うことです。
屋根カバー工法(重ね葺き)
既存の屋根の上に新しい防水シートと軽量屋根材を重ねる方法。
既存屋根を撤去しない分、費用を抑えやすいです。
ただし、カバー工法を行うにはいくつかの条件がありますので、検討段階でリフォーム業者に屋根を診断してもらうようにしてください。
屋根葺き替え工事
古い屋根をすべて撤去し、下地から新しくリフォームする方法。
屋根全体を一新できるため、下地の劣化が進んでいる場合にも対応できます。
ここまで「屋根塗装が不要、あるいは意味ないケース」についてご紹介してきました。
ですが日本の住宅の多くは、屋根塗装を行うことが屋根材を長持ちさせるための重要なメンテナンスとなっています。
屋根材の多くは塗装によって表面に作られる「塗膜」が紫外線や雨風によるダメージを軽減しています。
塗膜がなければ、屋根材の種類によっては防水性や耐候性を維持できず、早期劣化を招いてしまうのです。
塗装が必要な屋根材の種類
お住まいの屋根が以下の素材の場合、定期的な塗装が必須となります。
スレート屋根(カラーベスト・コロニアル)
日本の既存住宅にかなり普及している屋根材で、セメントを主成分としています。
素材自体に防水性がないため、塗膜が劣化すると水を吸収しやすくなり、ひび割れや反りの原因となります。
セメント瓦、乾式コンクリート瓦(モニエル瓦)
スレートと同様にセメント系のため、防水性は塗膜に依存しています。
塗装が劣化すると水を含みやすくなり、コケ・カビの発生やひび割れにつながります。
金属屋根(トタン・ガルバリウム鋼板など)
ガルバリウム鋼板などは軽量で高い耐久性があるものの、塗膜が劣化するとサビが発生する可能性が高まります。
トタンは放置すると一気に腐食が広がるため要注意です。
ガルバリウム鋼板も傷などから防錆層(めっき層)が剥がれるとサビが出やすくなるため、塗装での保護がオススメです。
塗装が必要な劣化サイン
屋根塗装のタイミングは築年数だけでなく、屋根の劣化症状から見極めることが大切です。
次のような症状が見られたら、メンテナンスが必要な時期を迎えている可能性が高いです。
紫外線でツヤが失われ色が薄くなる初期症状。
手で触ると白い粉が付く状態で、塗膜の防水機能が低下しているサイン。
屋根材の素地がむき出しになり、直接ダメージを受けるため、劣化が急激に進行する恐れがあります。
防水性が失われ屋根が湿気を含みやすくなっている証拠です。美観を損なうだけでなく、屋根材の劣化をさらに促進させます。
防水性を失った屋根材が水分を含み、乾燥と膨張を繰り返すことで発生します。ひび割れや反った部分の隙間から雨水が浸入し、雨漏りの直接的な原因となります。
塗膜が劣化し、鉄部分が露出することで発生します。放置するとサビが広がり、屋根材に穴が開いてしまうこともあります。
屋根は高所で危険を伴うため、ご自身で無理に劣化サインを確認しようとはせず、専門業者に点検を依頼するのが安心です。
塗装時期の目安
一般的には新築や前回の塗装から10年前後が目安とされています。
ただしこれはあくまで平均的な基準であり、塗料の種類によっても塗膜の効果が発揮される耐用年数は異なります。
☑ シリコン塗料:10~13年
☑ フッ素塗料:15~20年
屋根に塗装した場合の耐用年数についての注意点
屋根は外壁よりも紫外線や雨風を強く受けるため、劣化が早く進みます。
したがって「耐用年数だけにとらわれず、屋根の状態を定期的に点検し、劣化症状が出たら早めに塗装すること」がお住まいを守る鍵となります。
屋根塗装が必要な屋根であるにもかかわらず、「まだ大丈夫だろう」とメンテナンスを後回しにしてしまうと、住まいに深刻なダメージを与える恐れがあります。
ここでは、適切な時期に屋根塗装を行わなかった場合に起こり得る3つの重大なリスクをご紹介します。
雨漏りの発生
塗膜が劣化すると、スレートやセメント瓦などは防水性を失い、雨水を吸収しやすくなります。
水分を含んだ屋根材は膨張と乾燥を繰り返し、ひび割れや反りを起こしやすい状態になります。
最初は小さな隙間でも、放置すると雨水が屋根内部へ浸入し、下地のルーフィングを劣化させ、やがては野地板や構造材を腐食させてしまいます。
ここまで進行すると建物自体に大きなダメージを与え、大規模修繕が必要になることもあります。
ルーフィングや野地板もいずれは寿命を迎えるものですが、そのリミットを早めてしまい、劣化に気づきにくくなるのがリスクと言えるのです。
屋根材そのものの寿命を縮める
塗膜が劣化して剥がれたりすると屋根材は紫外線や雨風を直接受け、欠けや反りが起こりやすくなるだけでなく、劣化スピードも一気に早まります。
その結果、まだ使えるはずだった屋根材を予定より早く交換しなければならなくなる可能性があります。
結果的に修繕費用が大幅に高くなる
「まだ大丈夫」と思い塗装メンテナンスを先延ばしにした結果、本来は数十万円で済んだはずの塗装費用が数百万円規模の工事になることもあります。
屋根塗装の費用は一般的に40万円〜80万円程度ですが、劣化が進み塗装で対応できなくなると、次のような工事が必要になります。
☑ 葺き替え工事:税込1,097,800円~2,200,000円が目安
使用する塗料の種類によって、塗装工事の意味をより高めることが可能です。
その代表例が、近年注目を集めている断熱塗料です。
夏は涼しく、冬は暖かく
断熱塗料は建物の内外で行われる熱の移動を抑える機能を持っています。
真夏の強い日差しによる熱を室内に伝えにくくし、冬場は暖房で温めた空気を外へ逃がしにくくするのが特徴です。
家全体を魔法瓶のように包み込み、一年を通して快適な室温を維持しやすくしてくれるのです。
よく似たものに「遮熱塗料」がありますが、こちらは主に太陽光を反射して夏の暑さを和らげることに特化しています。
一方、断熱塗料は夏と冬の両方で効果を発揮するため、省エネ効果を年間を通じて実感できるのが大きな違いです。
次世代の断熱塗料「ダンネスト」がオススメです!
断熱塗料の中でも、私たち「街の屋根やさん」が特に高く評価しているのが「ダンネスト」です。
圧倒的な断熱性能の秘密は「アクリルビーズ」
従来の断熱塗料の多くは、断熱効果を生み出すために「セラミック製の中空ビーズ」を使用して空気層を形成していました。
しかし、このセラミックビーズは塗装前の撹拌(かくはん)作業などで割れやすいという弱点があります。
ビーズが壊れてしまうと、当然ながら断熱性能は低下してしまいます。
一方、ダンネストは特許を取得した非常に耐久性の高い「アクリル製の中空ビーズ」を採用。
これにより、施工後も塗料本来の断熱性能を損なうことなく、長期間にわたって高い効果を維持することが可能なんです。
高い耐久性とコストパフォーマンス
促進耐候性試験では20年近い耐用年数が確認されており、一度塗装すれば長期間にわたってメンテナンスの必要がありません。
また、ガルバリウム鋼板などの金属屋根への塗装は通常3回塗りが必要なところ、ダンネストは2回塗りで済むため、工期の短縮と作業コストの削減にも貢献します。
屋根の点検を行った結果、メンテナンスが必要だと分かれば、次に気になるのはやはり費用ですよね。
屋根塗装の費用相場
一般的な2階建て住宅であれば、足場代を含めて40万〜80万円前後が目安となります。
ただし、この金額は屋根の形状や劣化の程度、そして選ぶ塗料の種類によって大きく変わります。
例えば、シリコン塗料に比べてフッ素塗料や無機塗料は価格が高めですが、耐久年数が長く、塗り替え回数を減らせるため長期的にはコストを抑えられるケースもあります。
正確な費用を知るためには、必ず専門業者の見積もりを確認しましょう。
ここまで、なぜ「屋根塗装は意味ない」と言われるのか、その背景と実際の必要性についてご紹介してきました。
結論から言えば、屋根塗装の必要性は屋根材や劣化状況によってまったく異なります。
粘土瓦のように塗装を行わなくてもよい屋根もあれば、劣化が進んで塗装では手遅れとなるケース、あるいは製造時期によって塗装が不向きなスレート屋根も存在します。
一方で、スレート屋根や金属屋根への定期的な塗装は重要なメンテナンスであることも事実です。
適切なタイミングで塗装を行えば、防水性を高め、屋根材を長持ちさせ、結果的に雨漏りのような深刻な被害を防ぐことができます。
ただし、ご自身で屋根の状態を正確に判断するのは非常に困難であり、高所作業は危険を伴います。
ですので、本記事を読んで「屋根の状態を確かめたい」「塗装が必要な屋根材なのかを診断してほしい」といったご要望がありましたら、ぜひ「街の屋根やさん」の無料点検をご活用ください!
屋根材の種類や劣化の進行度合いを踏まえて、塗装・カバー工法・葺き替えといった最適なメンテナンス方法をご提案いたします。
「そろそろ屋根が気になるけど、塗装は意味ないのでは…?」と感じている方も、まずは専門家に相談し、お住まいの状態を正確に把握することから始めてみるのがおすすめです。














