お住まいの屋根材は「セメント瓦」という種類の瓦でした。
和瓦の原料は粘土ですが、セメント瓦はその名の通りセメントを成形して作られる瓦です。
和瓦よりも大量生産ができ、費用が抑えられる為、約40年前くらいに普及しました。
しかし、セメント瓦は和瓦と異なり素材自体に防水性がなく、定期的に塗装メンテナンスを行って防水性を保つ必要があります。
また、和瓦よりも耐久性が低く、寿命は30～40年程度となっています。
セメント瓦は熊本県発祥である為、現在でも熊本県内にはセメント瓦が載っている屋根が多くあります。
▶セメント瓦とモニエル瓦、塗り替えを必要とする瓦の最適なメンテナンス方法

谷板金の傍にあるセメント瓦に、割れが見られました。
セメント瓦の防水性が低くなっていると、水が染み込んで割れも起きやすくなります。
また、谷板金は雨水が大量に流れる場所である為、周辺は比較的傷みやすくなります。
ひび割れではなく完全に割れてしまっている為、破片が落下してしまう前に補修しなければいけません。

本来であれば棟漆喰は冠瓦（棟に被せている瓦）の端よりも内側に詰めなければいけません。
しかし、こちらは冠瓦よりも漆喰がはみ出ており、雨水を誘引する原因となっています。
【参考画像】
▶熊本市南区でも棟漆喰塗りすぎで雨漏りがありました
恐らく屋根工事の知識を持っていない業者が施工したと考えられます。
今回の雨漏りの一因になっているのではないでしょうか。

漆喰が欠け落ちた所は大きな穴が開いており、雨水の入り口になっているようです。
特に先端部分は欠損している所が多く、雨漏りや瓦が外れるリスクが高くなっています。
屋根内部には防水紙も敷かれている為、すぐに雨漏りする事はないのですが、恐らく防水紙自体も破れていると考えられます。

欠けた漆喰は谷板金に落ちていました。
谷板金の劣化や排水不良の原因にもなりますし、何より欠けた漆喰が地上に落ちれば怪我をしてしまうかもしれません。
欠け落ちた漆喰は調査時に取り除いておきました。
▶漆喰工事について

セメント瓦には汚れや苔がたくさん付着しています。
これはセメント瓦の防水性が下がり、水はけが悪くなっているサインです。
お客様にお聞きすると、以前塗装を行ったのは20年以上前という事ですので、表面の塗膜もかなり劣化しているようです。
▶屋根塗装工事について

しかし、葺き替え工事は費用がかなりかかる為、お聞きしたお客様のライフサイクルを考慮すると大きすぎる工事です。
▶屋根リフォームの種類と費用【塗装・葺き替え・カバー工法】
お客様とお話合いの上、今回は雨漏り解消の為にセメント瓦の割れ補修と漆喰補修、今後のトラブル防止の為に屋根塗装工事をご提案させていただきました。

提案内容

・仮設足場設置
・割れた瓦の補修
・漆喰詰め直し
・屋根塗装工事

お客様はできるだけ費用を抑えたいという事で、漆喰詰め直しと瓦のコーキング補修工事のみご依頼をいただきました。
▶隅棟先端の漆喰詰め直し工事
▶瓦のコーキング補修工事